オンライン講師が描く「ハクションな日常」

人生はハクション*くしゃみしたら吹き飛んでいくような

だらり~としてます\(。⊿°)/

先週半ばから、カラダがすっきりとせず
今週はすこしゆっくり~と言うよりは
だらり~\(。⊿°)/と
過ごさせていただいています。

日本で社会人デビューをし
30歳でカナダにやって来てから18年ほど
かなり無理をして仕事をしてきた。
その後、フリーランスになってから
母が倒れて、日本とカナダを行ったり来たり~。
そして、この3年のコロナ…と
「さぁ!これから」と思うタイミングで、いろいろな事が起きるものです。

自分の人生計画よりも数年早く、オンラインの仕事で起業をして一年ちょっとが経ち
「やっぱり、甘くないねぇ~!」と思う事たびたびなれど
今まで生きてきて
「こんなに仕事が楽しい♪」と思ったのは初めてだと思う。

楽しいけれど・苦しい(〃艸〃)ムフ
人生楽ありゃ苦もあるさ~♪
水戸黄門のテーマ曲の通りであるよ。

あと2週間弱で54歳になります。
自分で、えΣ(・□・;)54!とびっくりしちゃうんですけどね。
だって、自分が想像していた50代って
もっと、おばちゃんだし(*`艸´)ウシシシ
もっと、大人だったはず。
それが、わたしと言ったら、コレでいいのか!ですよ。

ま! でも、とにかく54間近です!!!

明日から、またコチラの連載スタートさせます。
Cafetalkのコラムは…
とりあえず「カナダへの道」の続きは、2月1日からスタートです。


米津玄師(+菅田将暉)「灰色と青」(2017)


今日は生徒さんが好きだ💛と言っていた曲にしました。
さて、韓国ドラマ見て寝ようzzz

TORIA (o ̄∇ ̄)/

いつか二人で⑦

toriadecafe.hatenablog.com

 

日本に帰ってからの美佳は
デビットと離れて暮らす不安な気持ちを紛らわす為~
そして、カナダに渡る為
出来るだけのお金を貯めておこうと
バイトに精を出した。

何故なら
お金が無い事で、また離れるのは嫌だった。

カナダを離れ、ちょうど3週間経った日の朝
デビットから、メッセージが来た。
それには、もうすぐ正式に離婚が成立しそうだと書かれていた。

そして、その数日後には
良い仕事が見つかった、と書かれており
二人の未来に、明るい光が差し込み始めた気がした。

ほぼ一日おきにビデオ通話をしていたが
デビットのパソコンが壊れたらしく、通話がしばらく出来ないと言う。

スマホからでもいいよ!と美佳は言ったが
デビットはパソコンからの方が良いから…と

ビデオ通話の機会は、減ってしまった。

デビットの新しい仕事は順調で
しかも、会社のボスに気に入られたとかで
今までにないほど、張り切って仕事をしていた。

美佳には、待ちに待っていた「朗報」
やっと、デビットと妻カレンの離婚も成立した。

二人に、もはや障害は無いように見えた。

それなのに、デビットからの連絡はさらに減っていった。

それでも、美佳の方からは毎日のように
メッセージを入れた、

「とにかく、受け入れ準備万端になったら
 急いで、来てくれ~って呼ぶから」
そうデビットは、茶目っけたっぷりに言っていたのに
その報せは来ない。

そんな中、美佳の父が胃潰瘍を患い
入院、手術したりと慌ただしくなった。
美佳の父は、デビットとの交際を知ると大反対をした。
母は、敢えて 
デビットが最近まで既婚だった事は話していなかったが
外国で結婚すると言う事に
とにかく反対だった。

だが、手術をした後
父は、一気に弱くなったように見え

こんな言葉を漏らした。

「美佳、お前が幸せになれるなら行きなさい」
その、言葉は父の本心ではないだろう。
しかし 美佳は、黙って強く頷いた。

父の入院で、毎日 病院に行ったり
母の代わりに家事をやらなければならず
以前のように、美佳はデビットにメッセージを出来ずにいた。
でも、優しいデビットの事だ
この致し方ない状況を、わかってくれるに違いなかった。

父が退院し、職場復帰したのを見て
美佳は、落ち着いてデビットに連絡出来る
やっと、カナダにも行ける…
そう思った。
デビットに何度かメッセージしてみたものの
返事は来ない。
電話しても、留守電にメッセージを吹き込んでばかり。

そんな状態が1カ月近くも続き
「もしや、病気や事故にあったのではないだろうか」と不安が募った。

カナダに居る、友人の佐和子に連絡してみると
先週、彼がダウンタウンを歩いているのを見たと言う。
それなのに
何で、何も連絡が来ないのか?

美佳は、意を決して
カナダに行く事にした。

デビットの元へ行く為に
新しく買った大きいスーツケースを二つ持ち
カナダへ向かった。

連絡が取れないのは、不安だったが
たぶん、真面目な彼の事。
仕事に集中しているんだ!
そう
思い込んでいた。

いきなり行って、驚かせよう
会えた時の事を、色々と想像した。
長いフライトも
デビットと出会った時の事を思い出しながら過ごした。

夜8時過ぎ
空港から直接、デビットの部屋を訪ねると留守だった。
大きな荷物を抱え、外で待つわけにはいかない。
佐和子に連絡すると、急にも関わらず
彼女は快く出迎えてくれ、泊めてくれた。
しかし、美佳がわざわざカナダに来た事に
「やっぱり、来ちゃったんだね」と呆れたような、苦笑いを浮かべた。

翌朝、再びデビットの部屋を訪ねブザーを鳴らすと
中で物音がしている。
美佳の胸の鼓動が、一気に高くなった。

勢いよくドアが開くと
そこには、美佳と同い歳位のカナダ人女性が
起きたばかりの様子で
タンクトップにショートパンツという格好で立っていた。

部屋を間違えたかもしれない…
「友達のお宅かと思って… 間違えました」と言うと

その女性は
「デビットの友達?もしかしたら」と言い
美佳はそれに、黙ってうなづくと…

「ハニー、お客さんよ」と
驚くほどの大きな声で、部屋の奥に向かって叫んだ。
そして

出てきたのは
あのデビットだった。

とりあえず、30分後に近くのカフェで落ち合う事にし
美佳は、その場を離れた。
二人離れた間に、何があったのか
おそらく、あの女性はデビットの「彼女」。

カフェに現れたデビットは
以前のむさくるしい髪形ではなく
短髪で、見た目にも清潔感が溢れ見違えるようだった。

聞きたい事は沢山あるのに
何を、どう話せばよいのか言葉が出てこなかった。

デビットが、先に口を開いた。

「彼女、高校の時の同級生なんだ。
 ちょうど、美佳が日本に帰った頃に久々に再会してね。
 彼女、弁護士でさ
 離婚の事も仕事も彼女のお陰なんだよ。
 
 あのね…
 美佳が、嫌いになったとかじゃないよ。
 今でも好きだよ。
 でも、彼女と出会って
 俺、心底変わりたい 
 強くなりたいって思ったんだ。

 美佳は、俺が居るから 
 カナダに居たいって感じだった。
 俺が全てみたいに言われて
 結婚して、どうこうとか
 本当のとこ 
 わからなかった。

 一緒に居たいとは思ったけど
 君が見てるものと
 俺が見てるものは
 違うと思った。
 ちょっと、苦しかった」
 
長い長い、デビットの「別れの文句」を聞きながら
美佳は、自分が情けなくなってきた。

美佳には、一緒に居るには「結婚」と言う事しか手段が考えられなかった。
だから、デビットの離婚を待ち
一緒に居る事・結婚が目的になっていた。

そうは言っても、今日までメッセージひとつも寄こさず
都合の良い事を並べる、デビットに
罵って、泣きわめきたいのに
涙ひとつも、怒りや憎しみの言葉も浮かばなかった。

もう、カナダに帰る場所は無い。
カナダに居る意味は無い。
ここまで待って、ここまでやって来たのに
自分の目の前にあったのは

結婚というGOALではなく
別れというCALLだった。


デビットとカフェの前で別れた後
道の真ん中で
美佳は、今にも叫びたいほどの気持ちでいた。

美佳と離れている間に
妻・そして美佳以外の女を選んだ男・デビット。
容姿も心根も変わり、冴えないと思っていた男・デビット。
それなのに、いつの間にか
自分の方が
「釣り合いの取れない女」「ただただ、待つだけの女」になっていたのが
悔しく、悲しかった。

いつか二人で…
その「いつか」は永遠に来ない。

いつかという言葉は、夢や幻を思うための言葉だという事を
美佳は、今思い知った。

泣いても泣いても涙は流れ
どうやって、日本に帰ればいいのか
前が見えなかった。

The End!


山下久美子「瞳いっぱいの涙」(1985)

冴えない男が、それなりになっていた!

それなのに…
この手の話ね~これ以降も出てきますよ(꒪ཫ꒪; )
次回は、アプリ婚活な話でも行きましょうかね。

(ΦωΦ)フフフ…

 

TORIA (o ̄∇ ̄)/

いつか二人で⑥

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ワーキングホリデービザが切れてしまい
美佳は、ビジタービザでカナダに残るしかない。
仕事も出来ない
ただ、デビットと一緒に居る。

それだけ

デビットは婚姻関係が破綻しているとはいえ
美佳は、ただの同棲とは言えない
後ろめたさを何となく感じていた。

でも、一緒に居たい。
じき、離婚も成立する。
そう思う事で、うしろめたさを抑えこんでいた。

カナダで出来た日本人や異国の友達は
皆ほとんど、自国へと帰っていた。
唯一、カナダに高校から留学してきて
今は大学院生の佐和子だけが、カナダでの唯一の友達だ。


毎日、何もする事がなく
家でボンヤリ過ごす日々の中
佐和子が、手土産のお菓子を持って遊びに来た。
アネゴ肌で、いつもストレートに何でも言う佐和子は
「いつまで、カナダに居るのよ。
 ビザ切れたんだから、さっさと帰りなさい」と冗談ぽく言った。
そして、少し真顔になって続ける。

「ねぇ、美佳
 デビットってさ
 ハッキリ言って、外見あんたのタイプじゃないでしょ。
 もう30過ぎなのに、仕事らしい仕事してない
 貯金はない
 別居してるったって、結婚してる
 優しい…って言ったって
 それだけじゃ…ね。
 わたしさ、美佳みたいなパターンのカップル何組か見てきてるんだけど
 結局、うまく行かないんだよね。
 好きっていったって、生活となったら色んな問題出てくるよ。
 こんな事言ったら悪いけど・・・
 美佳
 もし、これがさ日本人の男だったら
 デビットのような人と付き合ってた?」

美佳は、何も言葉が出てこなかった。


恋愛や結婚は、外見とかお金とか地位・名誉じゃない
なんて言ってみても
あまりに、何も無さすぎなデビット。

「でも、好きだから一緒に居たいの」
と、唯一の友に言いきる事が出来なかった。

それでも
「もうすぐ、一緒になれるよ」
という、デビットの言葉を
今は信じるだけだった。

何もする事がない暮らしも2カ月を過ぎようとしていた。

シェアメイトのスーザンは、1カ月前にカレッジを卒業し部屋を出ていった。
今は、美佳とデビット二人暮らし。
スーザンと家賃を折半していた分が、すべてデビットの負担となり
日々の食事が一気に質素になった。
そんな中
いつもより早く、デビットが帰宅した。
あきらかに様子がおかしい。

「どうしたの? デビット」

デビットはバスルームに入り、しばらく出てこない。
やっと、出てきたかと思ったら…

「美佳、実はさ…バイト、クビになった!」

「ちょっと待って、デビット
 どうするの?
 次の仕事、何とかなるの?」

矢継ぎ早に、美佳は
明日からの暮らしを不安に思い
デビットに、どうするのか?と問いかけ続けた。

「美佳、それで考えたんだけどさ
 日本に帰ってくれないかな」

その言葉は、美佳の胸に激しく、痛く突き刺さった。

「どうして?
 どうして? 一緒に居るって言ったのに」

「もう、限界だと思うんだよね。
 あ…誤解しないでくれ、美佳!
 二人の関係が限界とかじゃなくて
 今、生活する事がだよ。
 ハッキリ言って、今の状況だと君にご飯を食べさす事が出来ない。
 とりあえず、ここも出て
 僕は友達のトコに、しばらくステイする。
 だから、君を呼べる日まで日本で待っていて欲しい」

あまりに寂しく、情けない言葉。

それでも、美佳はまだ信じたかった。
これを超えれば
「いつか二人で」堂々と一緒に居られる
そういう日が来る…

たぶん、そう待たずに、その日は来るに違いない

美佳は、デビットの言う通り
日本への帰国の段取りをし、1週間後
空港に居た。

美佳とデビット
二人は空港で何度も抱き合い
唇を離すことが
出来なかった。

その感触を、忘れないように
言葉も交わす事なく
抱きあった…to be continued.

 

https://youtu.be/37JZ0Fw95ngS
SING LIKE TALKING「離れずに暖めて」

さて、次回は最終話。
この恋、どうなると思います?

 

TORIA (o ̄∇ ̄)/

 

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いつか二人で⑤

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デビットの妻と名乗るカレンは
続けて、早口に喋りだした。

「デビットは、今日は仕事なのかしら。
 今日中に話したい事があるのよね.

 ま、貴方に言っても 
しょーがないわね。
また、夜にでも来るわ」

美佳は、今来た人が誰で
何が起こったのか信じられずにいた。

デビットに連絡しようにも
日中に、すぐに連絡を取れる手段はない。
とりあえず、美佳は夜のシフトのバイトに
不穏な気持ちを抱えたまま、向かうしかなかった。

バイトを終え、部屋に戻ると
デビットが美佳を“待ちかまえていた!”
そんな様子だった。

いつものように、仕事から帰り
デビットに笑って向き合えるような心境ではない。
だが、デビットも
そのワケをわかっていた。

「ごめん。本当は、こんな…
 こんな風になる前に、言わなきゃならなかったね。
 スーザン…あ、妻と会ったと思うけど
 結婚してるんだ」

美佳は、うつむいたままで顔をあげる事が出来ず
デビットの言葉を聞いていた。

「でも…もう結婚してるなんて 
 紙の上だけの事で
 僕が日本に行くすこし前から、妻とは別居してる。
 ただ、いろいろ事情があって離婚はしてない。

 あ、だけど僕がどうしようと
 誰と付き合おうと
 君が居ようと 
 妻は何とも思わないし
 大丈夫だから。 
 いつか二人で、ちゃんと居られるようになるから」

何が、大丈夫なんだろうか?

美佳は、言葉に出来ぬ複雑な思いを
表情に浮かべるしか、その夜は出来なかった。
当然、一緒に寝る気にはなれず
今夜も帰ってこないシェアメイトのスーザンのベッドで
美佳は、眠れぬまま朝を迎えた。

そして、やっと美佳はデビットに話しかけた。

「私は、貴方を信じていいの?
 これは
 ちゃんとした恋愛なの?」


デビットは、小さく頷くだけだった。

デビットの妻は、6歳も年上で
思っていた通り、キャリアウーマンだった。
何で「こんな不釣り合い」に見える二人が結婚したのか不思議だった。

スーザンはデビットの友人の姉だった。
デビットは、何事にも強さを見せるスーザンに魅かれた。
そして、仕事がバリバリ出来るスーザンは
優しいだけが取り柄のような
デビットという男が、何となく心地が良かった。
デビットは、言えば何でも家事をこなし
スーザンの喜ぶ事を、率先してやろうとしてくれた。
しかし、生涯のパートナーとしては
ふたりの「強弱」が
だんだん障害にもなっていった。

子供は居ない、妻は自立している
デビットに資産などある訳はなく
それだけに、離婚は簡単に思えるのに
何故か、二人の決定的な別れの話は進んでいかなかった。

海外では離婚も多いし
別居してる間に、彼氏彼女が出来るなんて
普通の事なのかも知れない。
デビットは「大丈夫だよ!」と言っていたが

その言葉を信じていいのか、美佳には不安しかない。

だが割と、穏やかに時間は過ぎていった。

デビットの妻が、美佳の前に姿を見せたのは
そのあと一度だけ。
デビットから、事情は聞いたのだろう。
とても、妻の立場とは思えぬ
怒りも嫉妬も何もない「余裕の笑み」を浮かべながら
カレンが言ったのは
「あなたも、その内 わかるわよ。
 彼には、骨が無いから…」


ワーキングホリデーのビザが、残り2カ月となり
先の事を考えなければならない。
デビットが結婚している状況では
美佳と結婚も、コモンロー(事実婚)の手続きも出来ない。

カナダで、デビットと一緒に居られる手段は無く
自力で、労働者としてのビザを取るキャリアも無い。
でも、離れるのは 恐かった。

”彼のお荷物になるかもしれないけど
 ビジタービザでカナダに残れないかな”
そう、考えていた。

デビットに思いきって打ち明けると
「お荷物なんて言うなよ。
 僕のそばにいてよ」
そう、言ってくれた。

だが、問題は 美佳の両親だった。
デビットと、一緒に住んでる事は言っていない。

厳格な父は、怒り狂い
真面目で、大人しい母も「帰ってきなさい」と
言うに決まっている。
でも
もう、言わないとならなかった。

やっと、思いきって受話器を取り
実家に電話をすると、母が電話口に出た。

「お母さん、もう少しカナダに居たいの。
 というか、もう居るって決めたから」
そう言うと、母の強い言葉が美佳を襲った。

「あんた、付き合ってる人いるんでしょう」

美佳は、何も返事出来ずにいた。

「お父さんには、言わないから
 ちゃんと、お母さんに話して!」

美佳は全部言うべきか
それとも、嘘をつくか
一瞬迷った。

心の奥底にあった「不穏で不安な気持ち」が
一気に溢れ出てきた。
遠くに居る母だからこそ、今は何も繕わず
言わないとならない…

そう思った。

美佳がすべてを話し終えると
母は、ひとつ小さくため息をつき
心を落ち着けようとしているようだ。

「美佳、あんた幸せ?
 幸せになれるの?
 お母さんは外国も行った事無いし
 それが、特別な事じゃないとか言われても理解できないわ。
 奥さんが、何とも思ってないって言っても
 結局は、不倫でしょ。 
 それでも、幸せなの?」
 
それ以上は、母は何も言わず
美佳も、何も言えなかった。

電話を切った後
「幸せになれるの?」
と言った母の言葉が

美佳の耳元に、何度もこだましてはなれなかった… to be continued.


HY「Song for...」(2000)

 

この微妙な不倫っていうのも、どうなんでしょうね。
なかなか、日本だと厳しい見解になりますよね・・・。

 

TORIA (o ̄∇ ̄)/

 

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いつか二人で④

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相変わらず、女二人・男一人の
美佳からすると「奇妙な3人暮らし」は続いていた。
変わった事と言えば、デビットと美佳が二人で
ベッドルームに寝るようになった事。

それでも、シェアメイトのスーザンは
何も頓着しない様子で
ただ一言
「あー、私が居る時に
 セックスだけは止めてちょうだいね」
と言うだけだった。

しかし、3人が一緒に部屋に居る時間は少なく
深夜遅く帰ったり、よく外泊をするスーザンとは
ほとんど顔を合わせない事が多かった。

珍しく、美佳とスーザン二人だけで部屋にいると
スーザンが、ちょっと可笑しそうに笑う。
「美佳、デビットとどうするつもり?
 はっきり言って、私に出ていって欲しいって思ってるでしょ」

そんな事を言われると
美佳は、どんな顔をしていいのか
何て答えていいかわらない。
続けて、今度は笑いをこらえる風に
そして、意地悪そうにスーザンが言った。

「でもね、私が住んでるなんて大した事じゃないわよ。
 たぶん、あなた 
 まだ知らないんだわね」

まだ、知らない

その言葉の意味する事が、何なのか
美佳は、その言葉の意味を胸の中で繰り返し呟きながら
色んなGUESSをした。

デビットにはもしや、彼女がいるの?

はっきりしなくては…いけなかった。
急速に深まった、二人の仲。

「ずっと一緒にいたいね」

美佳がデビットにそう言った時。
深い意味で言ってるつもりはないのに
何故かデビットは曖昧な相槌だけをいつも打つ。
何か、あるのかもしれない
その思いが、次第に募っていたこの頃。

思いがどんどん深くなる前に
「聞かなくちゃいけない!」
そう思いながらも、聞けぬまま
日は経っていった。

いつしか、デビットの野暮ったい風貌さえ
可愛らしく思えるようになり
確実に、美佳は自分で「彼を好きだ」とはっきり自分の中で認めていた。

そして、お互い 
そう思い始めていた


いつもは、昼のシフトから日本食レストランでのバイトは入っていたが 
その日は珍しく夜だけのシフトで、美佳はひとり家に居た。
すると、ガチャガチャと玄関ドアから音がして
誰かが入ってきた。

いつもと、何かが違う。

すると、見知らぬ長身の
”いかにもキャリアウーマン”といった感じの女性が部屋に入ってきた。
美佳は、驚きのあまり、声が出ずにいると

「あら、新しいルームメイトかしら」と
その女性、いきなり美佳に話しかけた。

「私は美佳と言いますが
 あの…貴方は…?」

「あ、私! カレンよ。
 デビットの妻の」
…to be continued.

 


B'z 「Bad Communication」(1989)

 

何だか、なし崩し的に始まったような
この恋愛にハッピーエンドはあるのか!?な

 

TORIA (o ̄∇ ̄)/

 

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いつか二人で③

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日本に帰ってからの美佳は
再就職せず、フリーターとしてバイトを掛け持ちしていた。

小学校の教頭をしている父親には
「いったい、何を考えているんだ」と苦言を言われる中
密かに、ワーキングホリデーでカナダに行く事を計画していた。

周りの友達には、結婚する子も目立ってきた。
それを思うと、
「自分はこんなでいいのか…」と思いながらも
カナダの伸び伸びとして、自由な雰囲気の中で
次は、仕事をしたり
生活をしたいと思った。

時の経過の中で、デビットの事は薄れていった。
何度か、メールやメッセの遣り取りをするも
直接話すのと違って
テキストでは話が弾まず
ワーキングホリデーでカナダに行く頃には、音信普通となった。

さぁー!私のこの一年は、目一杯輝くんだから

三十路手前の一年間
カナダで、好きなように過ごしたら
その後は、ちゃんと就職するなり
”結婚”を考えてもいい
そう、美佳は決めた。

3か月の語学留学で過ごした
カナダ東部の町に辿り着くと
美佳は、懐かしさと同時にホッとする感覚に襲われた。

日本に居て、家族と一緒に居る時よりも
自分が解放されて、楽になっている。

最初の2週間、以前ホームステイしていた所でお世話になりながら、
住む所と仕事を探した。
仕事は、日本食レストランのウェイトレス
住む所は、なんと音信普通になっていた
デビットの所へ。

とは言っても”特別な事”ではなく
シェアメイト募集の案内にコンタクトすると
それがデビットだったのだ。

カナダでは、他人同士 
それも男女がシェアして暮らす事もある。
しかし、美佳は少し抵抗もあったので 
この後、ちゃんとした所を探そうと思っていた。

デビットと暮らすと言う事だけではなく
実は、この部屋には もう一人
カナダ人の女の子がシェアメイトとして住んでいた。
しかも、リビングとベッドルームの2部屋3人暮らし。

「デビット、何で こんな窮屈な暮らしをしてるの?」と聞くと


「お金無いからさ。 
 俺、学生ローンもまだ残ってるし
 なかなか良い職にもつけないから
 家庭教師したり
 バイト幾つかやったりして
 何とかやってる感じ。
 だから、シェアメイトがいれば、その分 家賃浮くだろ」

デビットが野暮ったく、要領も悪い。
外見だけじゃなくて、中身もイカしていない。

美佳は、デビットに対して
「良い人なんだけど、でもね…」
と心の中で呟いた。


カナダに来て1カ月が経ったある日
環境の変化による疲労が一杯になっていたのだろう。
美佳は、急な高熱と体中、不明の湿疹に見舞われた。
異国の地での体調不良
どうやって病院に行けばよいかもわからず
ルームメイトも帰ってこない部屋で
美佳は、泣きそうになりながらソファに横たわっていた。

すると、デビットがバイトから帰ってきて
美佳の異変に気付いた。
急いでタクシーを呼び、美佳を連れて救急病院に向かった。

病院での、診療までの長い待ち合いの時間
デビットは美佳を抱きかかえていた。
随分と長い時間、そうしていた。
言葉を発する余裕は二人にはなく
病院の待合室で長い時間ただ、診療の時間を待ち続けた。

処置を終えたのは、もう明け方近く。
結局、疲労と何らかの食あたりが原因だったようで
注射を施され、処方の薬を飲めば
数日中には回復するとの事だった。

処置室でも、デビットは美佳の手を握り
家に帰ってきてからも、あれやこれやと美佳の面倒を見た。
そんな、彼の”優しさ””温かさ”の中に
美佳は、心が落ちていった。

好きとか愛しているとか
そういうのとは、ちょっと違う

でも
この人といたい…
そう思った。

病院に行った日から5日経ち
やっと、湿疹の痕もほとんど見えなくなった。
その日は、シェアメイトのスーザンが友達の所に泊まるとかで帰らない。

明日は、デビットのバイトが休み
美佳は、体調不良のゴタゴタで早々にバイトを辞めていた。

「全てが仕切り直しだ!
 でも、デビットにお礼もしたいし
 今日は私のおごりで、楽しく飲もう」

と、つまみやビール、ワインを買い込んで
二人で 夜通し、映画を見たり話しこんだ。

そして、その夜
自然と二人 重なり合った... to be contiunued.


milet 「us」(2020)

 

異国でのアクシデントとやさしさに
ドボンと落ちた
女がひとり。

あぁぁぁぁぁ\(。⊿°)/

 

TORIA (o ̄∇ ̄)/

 

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いつか二人で②

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3か月の語学留学。
美佳は、日本に居る友達に
「なんちゃって留学いってきま~す」と言って日本を出てきた。
まさに「なんちゃって!」という言葉がふさわしく
3か月という時間では、語学学校でも出来る事は限られ
時間もあっという間に過ぎていった。

カナダ滞在も残り1カ月という、ある日
授業を終え、学校を出ようとしたところで
「美佳!」と声を掛けられた。

聞き覚えの無い声に振り返ると
白人男性が立っている。
誰なのか、わからずにいると

「覚えてないかな?
 デビットだけど…
 飛行機の中で話したよね」と言われ
忘れていた、あの”出会い“を思い出した。

でも、ほんの飛行機の中での出会いで
あれから時間も経っていて
美佳は、何を話していいかわからなかった。
しかも、こんな偶然があるのかと内心驚いていた。

「デビットは、何でここへ?」と聞くと
知り合いがこの学校に居て
仕事の事で相談に来たとの事。

「美佳、明日は学校休みだよね。
 よかったら、お茶でもどうかな?」

すこし迷ったものの、あの機内での楽しいお喋りを思い出し
美佳は、会ってもいいなと思いOKをした。

そんな、偶然とも必然とも思える 二人の出会い

美佳とデビットは、その再会以来
頻繁に会うようになった。

学校帰りにお茶を飲んだり
映画に行ったり
時には、英語学校の課題を手伝ってもらった。

相変わらず、デビットの野暮ったい風貌は変わらず
何となく、美佳は彼と並んで歩く時
周りには、どう見えているんだろうか…と思っていた。
ビジュアルは、やっぱり好みではない!
だが、美佳は彼の穏やかで優しいところに魅かれ始めていた。
何より、一緒に居て
話をしていて
楽だった。

まだ、会って間もないのに
こんな気持ちになっている自分が不思議だった。
そして、引きずっていた前の彼、哲哉の事も思い出す事がなかった。
しかし、日本に帰国する日は迫っている。

「美佳、ワーキングホリデーというのがあるよ。
 1年カナダに居られて、仕事も出来るし学校にも行ける。
 カナダでの生活をエンジョイできる
 素敵なプログラムがあるよ」
デビットは、ある日そんな事を教えてくれた。

美佳は、デビットは私にカナダに居てほしい
と思っているのだろうか!?と思ったが
付き合ってもない男(ひと)の為に
カナダにまた来るほど、私もバカじゃない!とも思っていた。

デビットとは、ただの友達。
でも、何となくこの頃は

彼に彼女がいるのか気になっている。

時間は、ただただ過ぎていき…

日本に帰る日の朝
空港には、ホストペアレンツが見送ってくれただけで
デビットの姿は”もちろん”無かった。

二人は、良い友達としての「思い出」だけ
お互いの心に残し
夏の終わりと共に
カナダと日本、離れ離れになった... to be continued.

 


杏里「Surf City」(1983)

 

まぁ~よくありそうな事ですよ!

これってば!
・・・で、カナダ戻ってきちゃうんだろうなぁ(〃艸〃)

TORIA (o ̄∇ ̄)/

 

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