オンライン講師が描く「ハクションな日常」

人生はハクション*くしゃみしたら吹き飛んでいくような

再び、調査部の男②~あるOLの回想

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機体が、成田を飛び立つと
何かが、プツリと途切れたような気がした。
それは、わたしではなく
隣のあの男が!

森は、わたしの座席の方に向かって身を乗り出し
なれなれしく
「今はどうしているのか」
「結婚したのか」などと
あれやこれやと聞いてきた。
そして、聞いてもいないのに
今の自分の身が、今はどれだけ晴れがましいものかと語り出した。

調査部の森という人物は
こんなヤツだっただろうか…。

わたしは、まるで
これから森を調査するような感じで
その男の横顔を、ぼんやりと眺め
話を右から左に聞いていた。

何しろ、エース物産で
“あの日”以降、かかわりなどなかったのだから
森を知る術もなかった。

森の話を時には上の空で聞いていると
何処から、その話に結びつけたのか
自分と自分の息子の学歴自慢が延々と…。
そして、今働いている会社の素晴らしいポジションと待遇。
森自身の自慢話のオンパレードが、さらに延々と続いた。


わたしは森の自慢の数々に、「はぁ」とか「ふぉー」とか
単語なのか、単なる音なのか
わからないような反応を繰り返した。
時には眠気と戦いながら、話に聞き入っているふりをする。

バンクーバーまで到着する時間まで
結局、一睡もすることなく
わたしは森の話に付き合わされた。

周りの乗客は、饒舌にしゃべり続ける森を迷惑そうに見ている。
そして、それに付き合わされるわたしまでもが
迷惑な乗客と見られている気がした。

もうすぐ、バンクーバーというアナウンスが流れると
急に森は声を小さくして、わたしに囁いた。

「あなたにはね
 本当は、もっと話したいことがあるんですよ。
 ほら、エース物産のね・・・」

それは、秘密めいて
謎めいた
危険な響きだった。

「私ね、知ってるんですよ」

その森の言葉にわたしはドキっとして
思わず、森の顔を直視すると
まるで時代劇に出てくる悪代官のような、歪んだ笑みがそこにはあった。

何を知っているのか?
まだ、なお 
何を話すつもりなのか。

やっと、この機内で別れられるはずだった森と
わたしは何故か次の日
バンクーバーの町中で会う約束をした。

そして、そこで
わたしは
森と言う男の正体を知らされることになる
to be continued.

 


Ed Sheeran - Bad Habits<SHAUN Remix>


あるOLの回想のエンディングが迫ってきました。
登場人物の「わたし」…は、結局
名前も苗字も出てこないけど(〃艸〃)ムフッ

TORIA (o ̄∇ ̄)/

 

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