オンライン講師が描く「ハクションな日常」

人生はハクション*くしゃみしたら吹き飛んでいくような

語られる過去②

toriadecafe.hatenablog.com

 

「サユリー!」

エレンの甲高い声に呼びとめられて
その朝は始まった。

「エレン、これから授業なの。
 私、急がないと遅刻しちゃうから」

すると、エレンは早口に
「サユリ、今日ね家庭教師に引き合わせるから
 放課後3時、ミッドカフェに来てね!」
それだけ言って、反対方向の図書館の方へノロノロと歩いて行った。

小百合は、相変わらず授業についていけてるのかどうか
自分でもわからなかった。
何しろ、復習が手一杯で、予習まで手が回らない。
他のカナディアンの生徒に比べると
力の差を感じる毎日。

今日も授業を終えて、落ち込みながら
待ち合わせのカフェへ向かった。

カフェに入ると、まだエレンは来ていない。
辺りを見回したが、まだ家庭教師らしき男も来ていない。

何歳くらいの人か
どんな人なのか
全く、何も聞いていなかった。
ただ、今の小百合にとっては
どんな人でもいいから
あのクラスの授業についていって
1年の期限内に、卒業出来れば…それだけだった。

カウンターで、ラテをオーダーし
テーブルに着くと
背後から人の気配がした。

「サユリ…かな!?」

振り返ってみると
長身で細身、栗毛色の少しカールの掛った髪型
端正な顔立ち
「まさに、イケメン」の男性が立っている。

「はい、小百合です。
 もしかしたら、エレンが…言ってた…」

すると、男は眩しい程の笑顔で
ジェシーです。よろしく」
そう言って、右手を差し出した。

その後、何を話したのか
小百合は、後になって何も思い出せなかった。

ただ、思ったのは

こんな、イケメンの家庭教師で
勉強が身に入るかしら


そんな思いが、過っていた。

エレンが来てからも
小百合は、何だか上の空だった。

ジェシーは28歳
この町の大手企業ブルックスに勤務している。
次期、マネージャーも約束されていて
優秀なビジネスマン。

「サユリ、ジェシーはルックスも良いし
 頭も良いし
 こんなナイスガイはいないわね。
 私にボーイフレンドがいなかったら
 絶対にアタックしてるわよ!」

エレンは、いやらしそうな目でジェシーを横目で見ながら

「サユリ、取っちゃだめよ!」
と、冗談なのか本気なのか
わからないような言葉を最後に付け加えた。

エレンが、そんな事を言っても
こんなイケメンが
私を相手にするはずが無い。
小百合は胸の中で呟いた。

取りあえず、毎週水曜と金曜の夕方
ジェシーが仕事を終えてから
二人は、図書館で勉強する事になった… to be continued.


My Little Lover 「Man & Woman」(1995)

懐かしい曲だな…*1ケラケラ

TORIA (o ̄∇ ̄)/

 

toriadecafe.hatenablog.com

*1:´∀`