オンライン講師が描く「ハクションな日常」

人生はハクション*くしゃみしたら吹き飛んでいくような

語られる過去⑥

toriadecafe.hatenablog.com

 

ジェシーは、日本の小百合の実家へ
直接
それも日本語で結婚の許しを得たいと、挨拶に赴いた。

小百合の両親は、大反対という訳ではなかったが
外国人との結婚と言う事に
かなりの戸惑いを見せていた。
しかし、ジェシーの紳士的で礼儀正しく
相手の気持ちを汲ろうとする姿勢に
両親も、最後には快く二人の結婚を許すに至った。

もう
何も、二人の結婚に「障害」は無いように
見えた


カナダへ帰る飛行機の中で
小百合は、何とも言えぬ安堵感に包まれていた。

しかし、次の瞬間
忘れかけていた事が
ふと、頭に浮かんだ。

ジェシーの過去

私と出会う前に、彼が何かしらの
大きな「痛み」
大きな「何か」を持っている事を
小百合は、ぼんやりと感じていた。

自分だって、ジェシーに一から十まで
過去のいろいろな事なんて語る事は出来ない。
別に、恥ずかしいような事はないが
ただの、つまらない
ありきたりの出来事や恋愛話なのだ。
それでも、どうもジェシーの事が気になっていた。

結婚の準備も着々と進む中
小百合は思いきって
胸の内にあるモヤモヤを訪ねてみた。

それは、軽い気持ちだった。

ジェシー、ねぇ 私がこの部屋に来る前って
 もしかしたら”恋人”と住んでいたの?」

すると、ジェシーが明らかに
今までとは、違った表情を見せた。

「うん。そうだね。
 ごめんね、言ってなくて。
 でも、そんな言わなくてもいいと思ってたし
 その”恋人”も今はもう結婚してるよ」

小百合は「そうなんだー」と軽く答えると
すこし落ち着いた気分になった。

だが、あのジェシーの暗い表情には
何かが、あるように見えた。

もしかしたら、私と居る今も
その人の事を引きずっているのか?
そんな、気がしてきた。

その夜、ベッドに入ってからも
なかなか寝付けず
ジェシー」と声を掛けると
彼も、まだ眠りについてなかった。

「昼間に聞いたことだけど
 もう、あなたの中では整理がついてるんだよね?」
長い沈黙があった…。

ジェシーが、意を決したようにベッドから起き上がり
小百合の方を向いた。

「黙ってはいられないよね。 
 このままだと、良くない。
 僕の事を、ちゃんとわかって一緒になって欲しいから」
ジェシーは、まるで自分に言い聞かせるかのように
そう言った。

小百合も、起き上がり ジェシーに向き合うと

「サユリ、僕が愛した女性は サユリだけなんだよ」

首をかしげて、小百合が聞き返す様な素振りをすると

「何て言ったらいいのかな…
 女の子を好きになった事はある。
 でも、僕が本当に”恋愛”って思った…
 愛したと思う人は、みんな 
 男だった」

言われてる意味が、一瞬わからない。
目の前で、何かが一気に壊れていくようだった。
to be continued.


東方神起「Back to Tomorrow」(2011)

小百合の明日は、どうなるんでしょう…

TORIA (o ̄∇ ̄)/

 

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