オンライン講師が描く「ハクションな日常」

人生はハクション*くしゃみしたら吹き飛んでいくような

語られる過去④

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ジェシーとの同居生活が始まり、水曜と金曜以外も
勉強を教えて貰えるようになった小百合は
順調にクラスのカリキュラムを消化していった。
そればかりでなく、卒業後の就職も考える余裕が出てきた。
外国人学生がディプロマコースを卒業し
雇用主が見つかれば、1年は問題なくワークビザが発給される。

何とか自分の力で
このカナダで
仕事をしてみたい!
そんな欲が、小百合の心に芽生えていた。

「サユリ、僕はちょっと、誤解していたかもしれないよ」

課題のレポートを書いている横で
ジェシーが急に、話しかけてきた。

「君が、こんなに一所懸命頑張る
 頑張れる子じゃないと思ってた。
 でも今はもっと、その先に夢を見つけてトライしようとしてる。
 今まで、英語の家庭教師で何人か日本の学生を教えた事があるんだけど
 みんな親の金で遊びに来てるような子が多かったんだ。
 でも、君は学費も自分で工面したって言うよね。
 外国から来て、自力でこうして頑張る事がどれだけ大変か…
 僕は尊敬するよ!」

小百合はジェシーの言葉に、涙が出そうになるのをこらえながら
笑って小さく何度か頷いた。

その頃から、二人は勉強だけでなく
何かと「一緒の時間」を過ごす事が多くなった。

じっくり話してみると、小百合とジェシーの音楽や映画の趣味
ライフスタイルで落ち着くシチュエーション
共通するもの
共感するものが
不思議と合っていた。

週末、勉強から解放される小百合
仕事を片づけたジェシー
決まって、どちらかが
お互いの好きそうな映画をセレクト。
それを二人で、夜遅くまで何本か鑑賞し
夜明けまで、色んな話をした。
そして
小百合は、純粋にジェシーを好きになっていった。

今夜もずっと、お互い笑いっぱなしで話が続き
そろそろ、午前3時になろうとしていた。
もう寝る頃
このまま話していたいけど…

そんな事を、小百合が思っていると

ジェシーが、今日は寝る前に
大事な話があると…前置きして一呼吸した。

「サユリ、普通のルームメイトみたいな形で始まった
 僕らの生活だけど
 改めて…
 なんて言うんだろうな…

 よかったら
 僕の恋人として、この部屋に
 これからは居てくれないか?」

小百合は、言われた事の意味が一瞬わからず黙ってしまった。

そして、ジェシーに同じ事を繰り返し
言わせてしまった。

その日、二人は
初めてのハグをして
初めてのキスをした。

こんな恋の始まり
こんな恋人同士の始まりがあるんだ…

小百合は、そんな事を淡々と思いながら
これから、自分の人生にもっと良い事があるような気がした。
to be continued.

 


My little lover「白いカイト」(1995)


あらあらΣ(・□・;)
そんな、良い事ばかり続くのかしら…と
おばちゃんは思わず言いたくなるのでした!

TORIA (o ̄∇ ̄)/

 

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