オンライン講師が描く「ハクションな日常」

人生はハクション*くしゃみしたら吹き飛んでいくような

クリスマスの恋人②

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社会人になってから、福岡に帰省しない年末年始はこれで3度目になる。

本当は・・・
「結婚することになったよ」
そう両親に言って、今年は帰省出来ると思っていた。

電話をしたら、何かを気づかれそうで
啓子はLINEを覚えたての母にメッセージを入れた。

「お母さん、ごめん。
 今年は帰れなくなっちゃった。
 大した役職持ちじゃないんだけど
 役持ちの仕事始めが、年明け早くてね。
 その内、帰るからね。
 お父さんによろしく。良いお年を・・・啓子」

息もせず、一気にメールを打ち終わると
ふーっ・・・と
大きくため息をついた。

ひとりには慣れている
寂しさにも 慣れている

それなのに、今は
どうしようもない”孤独感”に襲われていた。

どんなに”ココロ”が沈んでいても時間は過ぎていき
晦日の晩が訪れた。

除夜の鐘が何処からか 鳴っている。
深夜のコンビニは 意外にも賑わっていて
”いつものように”
カップ麺やおにぎり、おでんを買い求める人たちがレジ待ちをしている。

啓子もパンとインスタント食品、お菓子に飲み物
そして、久しぶりに”紙の雑誌”を手に取ると、3冊かごに入れた。

「あ、年が明けたよ」
背後から聞こえるのは、恋人同士か夫婦なのか
はしゃぐ”女の子の声”。

近所のコンビニで迎える 新しい年

電気もテレビもつけたままの部屋に戻り
啓子は、いきなり服を脱ぎ始める。

お風呂でも入って
カラダを綺麗にしたら
何もかも 綺麗に、新しくなるようなが気がした。

いつもの湯上りと、変わりはしない。
それでも、すこし 気持ちは紛れていた。
濡れた髪をタオルでまとめ
ペットボトルのウーロン茶を片手に、こたつに入ると
買ってきた雑誌に手を伸ばした。
いつもなら買わないような、三流週刊誌。
これと言って、興味を引くような記事もなく
ただページをめくっていると
これまた、いつもは決して読まないような話題に目が留まった。

癒されたかったら・ココに逝け!

「死んで どうするのよ」
ひとりで読みながら、ツッコミを入れる。

話題のホストクラブに潜入!!
なんとも、胡散臭い記事だ。

しかし、啓子はそのページを端から端まで読み、眺めていた。

自分には、とても「程遠い世界」「関係ない世界」
決して
「近づいてはならない世界」
そうとしか思えない
オンナの遊び

それなのに、啓子は繰り返し、そのページを眺めていた。

知らない世界なのに
それは、甘く・酸っぱいラズベリーの危険な香りを放つ「夢の世界」に見えて

そのページ”から目が放せなかった…。


レベッカ「Raspberry Dream」(1987)

ひとりのクリスマス
ひとりの年越し
私も経験しとりますよ~。
最近なんて、年越しまで起きてよう!って気力・体力がないっ!

TORIA (o ̄∇ ̄)/

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