オンライン講師が描く「ハクションな日常」

人生はハクション*くしゃみしたら吹き飛んでいくような

クリスマスの恋人⑥

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背中を押されて、再び足を踏み入れた
CLUB[CANDY DANDY]

そして、妙子が指名し
今、横に座っているのは若干24歳のカイト。
啓子は心の中で呟いた…

わたしが産んでいても、おかしくないくらいの歳の“男の子”

 

「何で、私のこと 覚えてくれていたの?」

啓子はカイトに聞いた。

「こんな事言っていいのかな…
 いや…ね。僕ぅ、あの日ちょっとだけだったけど
 啓子さんと御一緒させて頂いて
 何でかなぁ…
 啓子さんの事が気になって。
それにあの日、僕、入り口のとこに居たんですよ。
啓子さん、怖いって言ってたのが…気になって」

「えー。怖いなんて言ってたかしらぁ。
それに
こんな、おばさんを気にするなんてないでしょう」

啓子は、鼻で笑うフリをして
「47のオンナ」がそんな言葉に騙されないわ!
そんな素振りをした。

「啓子さん、信じてないか… 当たり前か…
本当に本当に気になってたんだけど」

カイトの言葉やしぐさは純朴で、まるで怒られた子供のように見える。


啓子は次の瞬間
「ごめんごめん」と言うと
自然に、カイトの手を取っていた。
そんな思いきった行動をした自分に
心の中の「もうひとりの自分」は驚いている。

ここは「虚飾で彩られた世界」
わかっていながらも
啓子は、ゆっくりと”その”優しさに包まれていく。

「じゃー、啓子さん、今度は僕に質問させて!
 何で、僕を指名してくれたの?」

「えー、何でかなぁー」

「ひどーい、啓子さん
 格好いいからとか、可愛いからとか
 そういうのじゃないんだぁー」

カイトは、冗談っぽく
そして子供っぽく、そう言うと
一気に「ふたりの距離」は縮まった。

何をどう話していたかわからないくらい
啓子とカイトの話は弾んだ。
本当に大した話ではないのに、啓子はずっと笑っていた。

めくるめく時間とは
こういう事を言うのだろうか。
本当に、一瞬のように
楽しく、心地良い時間の終わりは訪れた。

今日が本当の、ホストクラブ初来店のような気もして
そして
今日が本当に、カイトに出逢った日のような気がして。
楽しかったけれど
啓子は「これで本当に最後にしよう」と心の中で決めていた。

ハマり込んでしまったら大変!
そう、わかっていたから。

引き留められるんだろうな・・・
営業トーク
「また会いたいな」
「次は、いつ頃会えるかな」
そんな ”安っぽい言葉”が聞こえてくるはずだった。

しかし、カイトは店の前まで啓子を送ってくると
何も、言葉にしなかった。
ぎこちない時間が流れる・・・
そして、次の瞬間
「啓子さん」と言うと
すこし、啓子の手に触れ、唇を噛んだ。

そのカイトの視線は、啓子にしっかりと絡みついた。

「啓子さん、今日は本当にありがとうございました」

その言葉に、作り笑いを浮かべ
啓子は駅に向かい
歩き出した。

今まで生きてきて、感じた事のない
怖さと快楽が交差している。
背中には、まだカイトの視線が注がれている気がして
後ろは振り返らなかった…

 to be continued.


 

あ~(꒪ཫ꒪; )ヤバイ
タイプしながら、喉がカラカラになっております。

TORIA (o ̄∇ ̄)/

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