オンライン講師が描く「ハクションな日常」

人生はハクション*くしゃみしたら吹き飛んでいくような

クリスマスの恋人⑩

toriadecafe.hatenablog.com

 

クリスマスの夜は、毎年切ない


イブの夜、啓子はカイトと約束した通り
CLUB[CANDY DANDY]に向かっていた。

最近はカイトも指名が多くなり、トップ3に入るようになった。
啓子は、それを嬉しく感じる事もあったが
自分の懐が寂しくなってくると
カイトにとっての自分の存在は、特別ではなくなっている事を感じ始めていた。

ほんの、お遊び・癒しの場所と思っていたはずが
「もしかしたら、カイトは本気で私のこと…」などと
淡い期待をした事もあった。

でも、それは一時(いっとき)の幻想。

新宿の駅に降りると、啓子は銀行のATMに向かった。
カイトに、何もクリスマスプレゼントを用意していない。
それならば
「高いお酒を入れないといけない」
そう思い、20万円降ろした。
給料日とはいえ、最後に解約した定期からお金が減っていく。

社会人になって26年
一人暮らしで、コツコツと貯めたお金は
結婚資金
それが叶わぬなら
マンションを買うか、老後の足しになるか
そんな風に思っていた。

それなのに
大切に貯めてきたお金が、10か月足らずで消えようとしていた。

店の前まで来ると、中の賑わいがうっすらと聞こえてくる。

「私、何やってるんだろう」

急に襲った思いに、足が止まった。
そして、その場から
今来た道を、速足で戻り始めた。

すれ違う恋人たちは、楽しそうに笑っているのに
今年も結局、啓子はひとり。
去年とはまた違う“ひとり”。

山手線に乗り込むと、メールの着信音が小さく鳴った。
カイトからだ。
たぶん、なかなか姿を見せないに啓子に
どうしたかと思い、メールをしてきたに違いない。

啓子は…
一瞬迷ったものの、そのメールを開くことなく削除した。


電車を降り、改札口を抜けると
近くのファミリーレストランに入った。

また、今年のクリスマスもファミレスなんて

去年と同じ「自分の姿」が、窓辺に映る。
着飾ったつもりなのに、そこに映る自分は
ひどく疲れ、老けて見えた。

去年と同じようにファミレスの窓辺に居て
同じように見えていても
時は止まっていなかった

確実に、啓子は変わっていた。
この場所から、変わろうとしていた…to be continued.


稲垣潤一クリスマスキャロルの頃には」(1992)

クリスマスにファミリーレストラン営業してるだけ
まだ、幸せですよ。
私ね、カナダで
クリスマスに出張した事があるんですけど
どこもかしこも休み。宿泊しているホテルのレストランもやっていない。
ゴハンを食べようにも、何処もない!という危機的状況を経験した事あります!爆

あれは、寂しいというより
ひもじかった…。

 

TORIA (o ̄∇ ̄)/

 

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