オンライン講師が描く「ハクションな日常」

人生はハクション*くしゃみしたら吹き飛んでいくような

調査部の男②~あるOLの回想

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3階のフロアの一角。
個室になっている調査部の部屋は、壁沿いにコの字形に机が並べてあり
その上には、コンピューターが8台・電話機が5台
一番端にある本棚には、膨大なファイルが並んでいる。

確か、この部署のメンバーは
事業部と兼務している部長とこの森だけだ。
それなのに
「開発調査部」というくらいであるから
よほど、重要な調査をいつもしているのだろう

わたしは、部屋の様子に驚きながら
そう自分を納得させた。

部屋に入ると、森が早口で話し始める。

「今日はね、昼までにK産業さんからFAXが来るんだよ。
 今時ね、メールじゃなくてFAXで書類を送ってくるって言うんだよ。
 それで、その書類のケース番号というところを
 このファイルの、ここ見てチェックして!
 それが合致していたら、書類の下に僕のこのハンコ押して。
 それで、またK産業さんにFAXで送り返してください。
 今日は、そのために来てもらったんで
 それが、終わったら
 あなたの部署に戻ってもらうなり、退社時間に近くなってしまってたら
 帰ってもらってもいいですから」

そこまで、森は話すと大きく息を吐き出した。
そして、まだ言うべきことがあるというような身構えをした。

「あなたの事はね、人事の木村さんのお墨つきで
 しっかりしてる人だと聞いてます。
 ・・・で、ここからが大事な事なんだけど
 この部屋の様子などは決して他言しないでほしい。
 あと、ここの部屋に置かれてるものに一切、手を触れない事。
 今日来るFAX以外、電話が鳴ったりしても一切出なくていい。
 とにかく、頼んだ用事以外は 何もしなくていいから!」

森は、最後の言葉を、特に強く言うと
眼鏡越しの、厳しく冷めた視線をわたしに向けた。

つまり
ここで見たものは、見なかったことにするんだぞ!

それが、調査部という事なのか。

ということは
余程の「秘密任務」を背負っているに違いない。

森が外出すると、部屋の中は
異常なほどの静けさに包まれた。

かなり、しっかりした防音がされているのか
全く、外の音が聞こえない。

手を触れてはいけない。
見てはいけない。
そう強く言われれば、言われるほど
人間(ひと)は興味をそそられる。

わたしは、手に触れずとも
部屋の中をぐるりと眺め
何があるのかと、わからぬ物の前で落ち着かずにいた。

電話に出るな!とは言ったものの
全く電話は鳴る事は無かった。

何もする事が無く
わたしは、雑誌でも持って来ればよかった!などと思った。

そうこうしているうちに
不謹慎にも、わたしは机の上でウトウトとし
そのうち、本格的に眠ってしまった。

そして
電話の音で、目覚めると
すっかり寝ぼけていたのか
その電話を、取ってしまった!

わたしは、受話器をあげてから
「あ!」と思い
受話器を置こうとしたが
その声は、わたしに向けられていなかった…to be continued.

 


Chantal Kreviazuk - Dear Life (1999)

 

今日のこのワケわからん曲で
調査部の怪しさ
悩ましい感じ~伝わりますかぁ!?笑
さて、電話の向こうの「何かは何?」

TORIA (o ̄∇ ̄)/

 

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