オンライン講師が描く「ハクションな日常」

人生はハクション*くしゃみしたら吹き飛んでいくような

営業部の女①~あるOLの回想

「ねぇねぇ、先週 調査部に手伝いに行ったんだって?


エレベータホールで、背後から
けたたましく渡辺の声が飛んできた。

わたしは、小さい声で
「おはようございます」と言った後、その問いかけに対して
すこし頷いた。

渡辺は根ほり葉ほり、調査部の様子を聞きたがったが
わたしは苦笑いしながら
「普通でしたよ」という言葉をひたすら繰り返した。

わたしは渡辺より先に、5階でエレベーターを降りた。
営業部に設置してある、社内便ポストに請求書を投函するからだ。
特に急ぎでない書類は
営業部の中央に設置してある
ポスト風の四角い箱に投函することになっている。

あまり、人と関わりたくないわたしには
何とも好都合な代物だ。
わたしは、周りにいる人に
軽く会釈だけして、急いで書類を投函した。
そして、振り向きざま 
営業部の事務員、石原美香子とぶつかりそうになった。

石原は大袈裟に甲高い声で叫ぶ。
周りにいた社員が、何が起きたかと
すごい形相でこちらを見つめている。
そして、次の瞬間
その社員たちは「いつものことだ」と
呆れた顔をして、そこから視線を放した。

わたしは石原に
「すいません」と言い、そこから急いで立ち去った。
しかし、営業部のブースから外に出ると
わたしの心臓は驚くほどに高鳴っていた。

何故なら、先週 
あの調査部で電話を取ってしまった時。
聞こえてきた女の声は
確かに石原美香子の高く、甘ったるい声だった。。
そして、その相手の声は
この営業部の部長であり
次期、役員候補とも言われている風間の声。

あの時、急いで受話器を置いたので
二人がその後
どんな会話を交わしたかは、知らない。
しかし「あの様子」から
特別な関係であることは、十分に推察出来た。

石原は、このエース物産にコネで入社してきた。
彼女の父親は、エース物産の一番の取引先・かがやき物産の会長だ。

エスカレーター式で、お嬢様学校と言われる女子大を卒業し
入社して5年の彼女は
ちょっとした、トラブルメーカーだった。
容姿は、読者モデルでも出来そうなほど
スタイルも良く、顔もかわいい。
着る物や小物は
何気なくブランド物を取り入れて、センスは良い。

だが、仕事は出来なかった。
5年の間に3つの部署をたらいまわしとなり
やっと、この2年は営業部に落ち着いていた。

しかし、彼女の本当の問題は「男」だった

社内で五股をかけている!

そんな噂が出るほど
超肉食イメージで、彼女は彩られていた。
そして、最悪な事に
彼女、石原美香子と「関係した男」は
確実に破滅すると噂されていた。

そんな石原と
真面目で仕事が出来る!と言われている風間が
なぜ!?

わたしは、まだこの時は
新たな「破滅のにおひ」に気づいてはいなかった。
…to be continued.

 


チェッカーズ「WANDERER」

コネ入社の子息や子女。
厄介ですねぇ~💦

TORIA (o ̄∇ ̄)/

 

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